「絵利…湯島とずっと仲良くしろよ」

「え?」

告白かと思ったら違うことを言っちゃった呉汰にびっくりの絵利ちゃん。

「俺、夢のために学校辞めるからお前らとも今までみたいに逢えなくなるから。
 それだけは言っておきたかった」

呉汰の『学校辞める』発言にびっくりしつつも優しい笑顔で言う呉汰にうなずく絵利ちゃん。

「あ、湯島によろしく言っておいて。
 俺帰るから」

「でも、湯島くんに逢った方がいいんじゃないの?」

帰ろうとする呉汰の腕をひっぱる絵利ちゃん。

昔、呉汰はこの子が好きだった。

さっき『好き』を言おうとした。

けど、言えなかった。

言わなかったのだ。

過去形を伝えてもしょうがないから絵利ちゃんにとって今にこれからにつながる言葉。

『湯島と仲良く』を伝えたかった。

そして、呉汰にとって今にこれからにつながる『好き』を伝えたい相手がいたりする。