この静寂をやぶるは…父だった。

「呉汰のやるようにやるべきだと思うよ」

『思う』とはっきりしない感じに言ってしまう本町家の大黒柱。
ビシッと言わないところが父 向汰っぽい。

大黒柱の父が言うことにさからえない母は「しょうがないわ」といった表情をしていた。

「ハイ、呉汰、これで頑張れよ」

父 向汰は一つの一眼レフを差し出した。
「これは…俺の?」