「でも、呉汰にわかってもらおうと…」
半べそな父、その父にキュンとする母。
父のダメさが好きな母だった。

「まぁ~かっこいいお父さん」
二人は見つめあう。

「かっこよくなんて…ないよ、な?」
呉汰に目線を向け、聞いてくる父。

「…かっこよくはないかな」
母にギロリとにらまれ、こずかれる。
「…かっこいい父さんなんていらないよ」
「ちょっとそれじゃあお父さんの立場がないでしょ?」
母が父の腕を強く組んだ。

「反面教師になったよ」
「父親として反面教師は悲しいな」
父はガッカリする。