「呉汰くんは逃げることが多いよね。
 お父さんのことだって、嫌いだ、頼りないだ言ってもちゃんと最後まで言えずにケンカして…それって逃げてるって言うんじゃない?
 失恋のことだって、気持ち気付いたのが遅くたって気持ちを伝えることはできたでしょ?
 それをせずに忘れようとして、その自分の気持ちから逃げてるんでしょ?」
蓮ちゃんはすぽんと呉汰のことを言い当てた。
呉汰は当たりすぎて何も言うことが出来ずにいた。
呉汰は言って逃げてしまうことが多すぎる。
言ってはみたものの言った後を見るのが恐い呉汰であった。
「…そうだね、俺は逃げてるんだね。
 最悪だ、そんな自分に気づきもしなかった」
やっと呉汰は自分がやってきたことを認めることが出来た。