一週間後。

私はいつものように女神国の城下町を散策している途中で、カイトとエレナの兄妹と話をしていた。

「なぁ二人とも、この間の話を覚えているか?」

「んー?」

キョトンとするカイトとエレナ。

「ほら、私が悪者を殺したかどうかという話だ」

「あー」

カイトが思い出した、とばかりに手を叩く。

「…えっとだな」

私は緊張した面持ちで話し始める。

「戦というのは難しいものなのだ。例え悪くなくても殺される事はあるし、善人なのに誰かを殺さなければならない事もある。私も…」

私は一呼吸おいて。

「私も、悪者を殺した事がある」

「……」

カイトとエレナは黙って話を聞いていた。

「でも!」

私は沈黙を恐れるように話を続けた。

「私はどうしようもない事情で殺してしまった分、その何百倍もの人を幸せにする事で、罪を償おうと思うのだ。それで殺した事が許される訳ではない。だが、せめて死んでいった人の分まで、たくさんの人を幸せにしようと思うのだ」