「ああ」

私は笑顔で頷く。

「いいのだ。私は死ぬまで綺麗事を言い続ける。偽善者と笑われ続ける事にしたのだ。理想を抱き続ける道化だとな。私の信念は曲げられない」

「そうか…」

紅は呆れたように笑った後。

「ならば俺も一つ、綺麗事を言おう」

私の顔をまじまじと見つめた。

「お前はその身を犠牲にして、兵士や民衆を救え。そのお前の事は、俺が救ってやる」

「な…!!」

顔が、見る見る赤くなるのが自分でもわかった。

「何を綺麗事を!!」














私の言葉に、紅は皮肉たっぷりに笑っていた。