…ヨロヨロと歩く。

獅子の国の兵士達が、王宮内にベッドを準備しているので体を休めてくれ、とすすめてくれた。

有り難い。

正直今回は、身も心もボロボロだ。

全ての事に決着がついたのならば、少し体を休めたい気分だった。

紅とてそれは同様だろう。

今回も、本当に彼はよく働いてくれた。

彼が助けに来てくれなかったら、私は今頃どうなっていたのだろう。

想像するだけで鳥肌が立つ。

そんな事を考えていると。

「ひとつ、重大な問題が残っているのだ、乙女」

紅は深刻な顔をして言った。

「何だ?まだ何かあるのか」

表情を曇らせる私に。

「ああ…お前は自らを悪者にしてでも理想を貫くと考えている。だがそれでは、お前が幸せになれない。お前は救われない」

紅は真顔でそう言った。

「…何だ、そんな事か」

私は苦笑いする。

「いいのだ、そのような事は…一国の主が国の為にその身を犠牲にするのは当然の事だろう。私は女神国や同盟国の為ならば、身を粉にしてもいいと思っている」

「また綺麗事か」

紅は獅子王のような事を言った。