俺は槍を構える。

「乙女も忌々しいが…紅、貴様も鼻につく。貴様は手段を選ばぬ自由騎士として、見所があると思っていたのだがな」

剣を振り回しながら、獅子王は言う。

「乙女の戯言にそそのかされたクチか」

「違うな」

俺は顔色一つ変えずに言った。

「真実に目覚めたのだ」

「ふざけるなっ!!」

獅子王は一歩踏み込んだかと思うと。

「!!?」

一瞬にしてこちらの懐に入り込んできた!!

そして鋭い突きを放つ!!

咄嗟にのけ反るようにして刃をかわし、俺は距離をとった。

「なかなかにいい反射神経だ」

獅子王がニヤリと笑う。

…なんださっきの間合いの詰め方は。

速いなどというものではなかった。

「異国から伝わってきた歩法でな…まさに瞬く間に動いて距離を詰める事ができる体術なのだそうだ」

そう言って。

「!!」

獅子王はもう一度俺の懐に飛び込んできた!!