馬鹿な。

なぜこのような事になる。

まだ同盟を結んで数日も経ってはおらぬ。

なのに何故、同盟国同士が殺し合いの戦いをしなければならぬ。

俺ですら憤りと悲痛な心境を隠しきれないのだ。

「…く…れない…」

俺の背中で弱々しく声を上げる乙女は、俺以上に苦痛だった事だろう。

「乙女…大丈夫か」

彼女を気遣う俺に。

「私の事はいい…頼む…」

乙女は俺に言った。

「私を…私を戦場に連れて行ってくれ…」

「何…?」

耳を疑った。

まさか、その弱りきった体で…この戦いを止めようというのか。

「無理だ。お前では最早この戦いは止められぬ」

「頼む…」

「お前は他人の事よりもまず自分の事を心配しろ。そのような体で…」

「頼む…」

乙女は声を震わせた。