「くっ」

自慢の槍捌きが俺には劣っている。

自尊心を傷つけられ、兵士は再び槍を振るう。

今度は突きではなく払い。

下段から上段へ。

死角から一気に払ってくる辺り、多少は心得ているようだ。

だが。

「!」

俺は片手で握った槍の払いで、兵士の槍を逆に払いのける。

「単発の払いで仕掛けるとは愚かな。突きとの連携で仕掛けてこそ、払い技は活きる」

普段女神兵の武術指南という役職についているせいか。

ついそんな台詞が口をついて出た。

それが癇に障ったらしく。

「黙れ!」

兵士は狂ったように仕掛けてきた。

突きを連発、不意に穂先を下げて下段への突き、そこから掬い上げるように穂先を跳ね上げさせる!

成程、いい連携だ。

「だが技が荒いな」

跳ね上げてきた兵士の槍の穂先に魔槍の石突を合わせ、兵士の槍の刃を破壊する!!

そしてそのまま槍を床につき、それを支点にして兵士の顔に跳び蹴り!!

「ぐはっ!!」

兵士は壁まで吹っ飛ばされて倒れた。

それでも素早く立ち上がろうとするものの。

「チェックメイトだ」

俺はそれよりも更に素早く間合いを詰め、兵士の鼻先に槍を突きつけていた。