心配は勿論している。

乙女は女神国の女王だ。

その女王が、俺がいながらおめおめさらわれた挙句、万が一命でも奪われたとあっては、紅の旋風たる俺の二つ名に傷がつく。

「……」

そう考えて、俺は苦笑いした。

正直に言え、紅。

それだけではあるまい。

口にするのも憚られるその感情を、もう一度胸の奥に封印する。

余計な感情だ。

任務に支障をきたす。

どうしても気になるのならば、このゴタゴタが全て片付いてからゆっくり考えればいい。

だから…。

無事でいろよ、乙女。