弥生ちゃんは肩ほどのボブヘアをかきあげた。




「でも、教師が女生徒に軽々しくするもんじゃありません」



「弥生ちゃんらしいね…」



私は思わず苦笑いしてしまう。
確かに若いからそう思えてしまうのかもしれない。
寺田先生か…1年生だから全然わかんなかったけど、いい先生かもしれない。




「…帰ろっか」



そう言って私は生徒会室の鍵を閉めて、昇降口に向かった。
7時過ぎてしまってるからあたりは真っ暗だ。
きっと昇降口も閉まってるだろうから、職員玄関から出るしかない。




「あら、帰り?もう遅いから気をつけてね」



事務の先生にそう言われてしまった。
私たちは靴を履いて、職員玄関を出る。
私の作業で遅くなったから、弥生ちゃんの最寄まで送ってあげなくちゃ。