そして、客が美味しそうにラーメンを食べるズルズルという音。
もちろん全ては幻聴であるが、幼い頃から竜太郎の耳に染み付いたそれらの声や音は、完全に消え去ってしまうことはない。
竜太郎は頭を抱えた。
「やっぱりここにいたか」
突然の声に竜太郎はビクッとなった。
知らぬ間に源太郎が近くに立っている。
「ラーメン屋をやれだなんだって話しをしたからな、たぶんここにいるんじゃねえかと思ったよ」
と源太郎。
「もうとっくに寝たと思ったのに」
「いや、寝たこたぁ寝たんだけどよ、なにせあいつと一緒の部屋で寝るのは30年ぶりだ。眠りが浅くてつい起きちまったよ」
そう言って源太郎は苦笑する。
「母さんは寝てたかい?」
「寝てるように見えたけどな、よくわからん」
源太郎は最初居間でゴロ寝でいいと言い張っていた。
夫婦なのに、30年ぶりということで遠慮や照れがあったのだろう。
「じゃあ一応あんたの分の布団は敷いとくから」
幸子はそう言って先に床に着いた。
源太郎は暫く居間で横になっていたが、やがて申し訳なさそうに、二階の寝室部屋へと入っていったのだ。
なんだか微笑ましいな、と竜太郎は思った。
もちろん全ては幻聴であるが、幼い頃から竜太郎の耳に染み付いたそれらの声や音は、完全に消え去ってしまうことはない。
竜太郎は頭を抱えた。
「やっぱりここにいたか」
突然の声に竜太郎はビクッとなった。
知らぬ間に源太郎が近くに立っている。
「ラーメン屋をやれだなんだって話しをしたからな、たぶんここにいるんじゃねえかと思ったよ」
と源太郎。
「もうとっくに寝たと思ったのに」
「いや、寝たこたぁ寝たんだけどよ、なにせあいつと一緒の部屋で寝るのは30年ぶりだ。眠りが浅くてつい起きちまったよ」
そう言って源太郎は苦笑する。
「母さんは寝てたかい?」
「寝てるように見えたけどな、よくわからん」
源太郎は最初居間でゴロ寝でいいと言い張っていた。
夫婦なのに、30年ぶりということで遠慮や照れがあったのだろう。
「じゃあ一応あんたの分の布団は敷いとくから」
幸子はそう言って先に床に着いた。
源太郎は暫く居間で横になっていたが、やがて申し訳なさそうに、二階の寝室部屋へと入っていったのだ。
なんだか微笑ましいな、と竜太郎は思った。