「あんた自身は成功しない。じゃが竜太郎君がラーメン屋できっと成功する」

「あいつが?あいつはラーメン屋なんてもうやりたがってねえぜ」

「いまはそうかもしれん。じゃがいつかはきっとそのときが来る」

「いつなんだ?」

「それはわしにもハッキリとわからん。全ては竜太郎君次第じゃからな。5年以内かもしれんし、10年、いや20年も30年も先になるかもしれん」

「まさかそれまで俺にラーメン作りをやれってんじゃねえだろうな」

「いや、やるんじゃ。ずうっとラーメンを作り続けて、そして竜太郎君が本格的にラーメン屋をやる時期になったら、あんたはしっかり彼を手助けしてやるんじゃ」

「じ、冗談じゃねえ!10年ならまだしも、もし30年も先だったら俺はすっかり老いぼれだ。そこまで体がもつかよ」

老人はニコリと微笑む。
「心配いらんよ。あんたにパワーを授けてあげよう。どんなに年老いても体力はいまのままずっと保てるようにな」

「じ、爺さん…あんたは超能力者なのか?」

「ハハハッ、その話しはいずれまたじゃ。とにかくそのパワーであんたはひたすらラーメンを作るんじゃ。店を始めたときの気持ちに戻ってな」