余計なことをするんじゃない、と山田は一人でご機嫌斜めだった。
今日も私と亜沙子は、灰皿王子に手を振る。
隣にいる喫煙女は、弟の山田に向かってなのか、過去に何かあったであろう優雅になのか…
笑顔で手を振る。
「って言うか、今日ちょっとくっつきすぎ。」
私は、灰皿王子の隣に隙間なく立つ喫煙女を遠くから睨む。
「優雅、山田のお姉ちゃんと付き合えば?」
かなり自分勝手な発想。
喫煙女に新しい男ができれば、灰皿王子をあきらめるんじゃないかって。
実際に、喫煙女の片思いの相手が灰皿王子だって決まったわけじゃないけど…
でも、見るからにあのフロアで輝いてる男の人は一人だけだった。