「あ!N高の2年ってことは、山田君知ってんべ?」
名刺をまだ見つめたままの私に王子が話しかけた。
廊下の奥まで歩いた王子が振り返った。
ブルーのシャツ。
黒眼鏡をポケットから出し、サッとかけた。
どっちの顔も好き。
「知ってるも何も、同じクラスで隣の席です!」
何も答えられずに見とれていた私の代わりに、亜沙子が答えてくれた。
山田君って言った。
と、言うことは、山田のお兄ちゃんじゃないんだ…
そっか。
名字が違う。
清水、だもんね。
「山田とどういう関係ですか!?」
また亜沙子が私の気になってることを聞いてくれた。