コツコツコツ…
足音が近付いた。
「お~い!そこのガキ2人。もうすぐそこの扉、閉まるけどど~する?」
王子が…
戻ってきた。
面倒臭そうな顔をしてるけど、
さっきよりもずっと優しい声をしていた。
もう少し好きでいてもいいですか?
まだあなたのことを何も知りません。
灰皿王子…
「帰ります!!すみませんでした!!」
亜沙子が私の手をぐいっと引っ張った。
静かな長い廊下に響く声。
「あ!!あの!!」
私は、亜沙子の手を引っ張り返し、振り返る。
「あの・・・お名前教えてもらえませんか!!」
最初で最後のチャンスかも知れない。
勇気を出した。