こんなチャンスは最初で最後かも知れない。



私はいつの間にか、亜沙子に引っ張られてではなく、自分の意思で走っていた。






「ここのドアから入ったよ。絶対に!」



市役所の食堂横の赤いドアを亜沙子が指差した。


市役所の食堂は、普段は役所の人以外でも出入りが自由で、時々学校の先生達も利用していた。



亜沙子は、恐る恐るそのドアを押した。


市役所は市民の為のものなんだから、びびる必要ないんだけど…



「いた!!」


ドアを開けると、長い廊下が続いていて、その奥に自動販売機が並んでいた。


そこに喫煙所があった。