う~んう~んと首を傾げながら、私達は校門をくぐる。


薄暗い道を歩きながら、まだ電気のついている市役所を見上げた。




「灰皿王子の謎が解けるのも時間の問題だよ。陽菜の初恋の人だもんね!」


亜沙子がドンっと勢い良く、私の背中を押した。




「うわっ!!」



「ごめ…」





亜沙子に押された勢いで私は、誰かにぶつかった。


校門から出てすぐのコンビニから出てきた男の人は手に持っていたビニール袋を落とした。




「あ、悪いな…」


そう言って、彼は落ちたビニール袋を拾い、顔を上げた。





神様ぁぁぁぁぁぁ!!!!



なんという偶然。




間違えるわけない。



今日もちゃんとチェック済み。


彼のブルーのシャツと、黒ぶちの眼鏡。





出会ってしまった。


当たってしまった。





半径1メートル以内の場所にいる。




夢じゃないよね?



いつも遠く遠くにいるあなたを見ていました。






「灰皿…」



言いかけた言葉を飲み込んで、うつむいている間に彼は道を渡って、市役所の方向へと走った。




「陽菜??もしかして…!!!」




「うん…奇跡だぁ!!!!!灰皿王子とぶつかっちゃった。」