『はぁ?何、そのテンション・・・おかしくなったか?』
「電話が嬉しかっただけだよ」
『お前、俺が他の女と一緒にいて、腹立たねぇのか?』
王子は、低い声でそう言った。
「嫌だよ。死ぬほど辛かったし、一秒でも嫌だよ。でも・・・ちゃんと話してくれた晴斗さんを信じたいし、ちゃんと電話くれたから嬉しいんだぁ」
『陽菜、今ものすごくお前を抱きしめたくなってしまった。かわいすぎんべ・・・』
王子は、私が聞いてもいないのに、白田さんとの会話をほぼ全部教えてくれた。
それが王子なりの優しさであり、愛情表現なんだと思った。
乗り越えることができた。
こんな危機を。
山田と山田のお姉様と亜沙子に支えられ、私は・・・
初めて訪れたピンチを無事に乗り越えることができた。