「すぐ俺に言えよ・・・まさか、浮気してるとか思ったんじゃないだろうな」
「浮気とは思ってないけど・・・すごく怖かった。ごめんなさい」
俺が思っている以上に、高校生の心の中は繊細で、傷つきやすく、もろいんだ。
その場面を見ただけで、陽菜はいくつもの最悪の状況を想像し、胸を痛めていたんだろう。
「もう会いに来ないと言うから、今からその後輩と会う約束をした。でも、陽菜が嫌だと言うなら行かない。嫌に決まってるけど・・・黙っては行けなかった」
「どこで・・・会うの?」
陽菜は、ぐっと唇を噛み締めて、涙をこらえているような顔をした。
「ファミリーレストランで、軽くコーヒー飲みながら話そうかと思ってる。場所がどこでも、何も心配はいらない。もし、その子とホテルで2人きりになっても、俺は何もしない。信じられないかも知れないけど・・・俺には陽菜だけなんじゃ」
安心させる為の嘘じゃない。
本気でそう思った。
約束を守る女なのかどうかわからない。
でも、約束をした以上、明日もまた俺に会いに来たら、強く追い帰すことができる。
「わかった・・・信じる。でも、1時間以内にしてね」
陽菜はかわいく笑って、首を少し傾けた。