「結婚決まってからここに就職したのよ、白田さん。でも、4月からあんたのこと好きになって、結婚やめようかと思うくらい悩んでた。でも、清水君も全く相手にしないって感じだったから、あきらめて結婚したんじゃないの?」
それがもし本当だとしたら、相当辛かっただろう。
なんとなくわかる。
俺の場合、佐知子との約束は婚約と呼べるものではなかったが、もし婚約していたとしたら・・・俺はどうしただろう。
どんどん大きくなる陽菜の存在を・・・消すことなんてできたのだろうか。
「でも、突然どうしたの?白田さんなんて、話題に出たこともなかったのに」
「いや、いいんだ。忘れてくれ」
白田真弓って子は、どうして突然俺に電話をしてきたんだろう。
俺をあきらめて結婚したのだとすれば、今は人妻。
人妻が他の男に電話するなんて、尋常じゃない気がする。
そう思うのは、俺が古い考えなのか・・・
今の子って、結婚しても平気で他の男と遊んだりできるものなのだろうか。