モヤモヤした気持ちを翌日まで引きずった俺は、朝からため息ばかりついていた。
「おはよう!清水君!」
「おー、おはよう」
俺は、山田さんと一緒にエレベーターに乗った。
そうか、山田さんなら記憶力抜群だし、絶対に覚えてるだろう。
まぁ、執念深いとも言うけど。
「あのさ、シロタマユミって誰?」
「白田さん?清水君、忘れたの?頭、大丈夫?」
失礼なヤツだ。
俺は、名前と顔をなかなか一致させられないから、いつも変な覚え方ばかりしていて、
いざ思い出そうとするとこんがらがってわからない。
そういや、陽菜のことも・・・佐藤陽菜だから
砂糖と、鳥って覚えてたっけ。
なぜだか陽菜の名前はすぐに覚えたけどな。
陽菜には『職業柄、名前を覚えるのは得意』なんて出逢った頃に話してたけど、本当は・・・得意じゃない。
陽菜の名前だから覚えてた。
でも、恥ずかしいからそんなことを言った。