今すぐ抱きたい俺の気持ちを陽菜は知らない。
理性のある大人な男に見えるかも知れないけど・・・
そんなかっこいいもんじゃない。
陽菜が社会人だったら・・・
間違いなく、今ここで陽菜を抱いてる。
ちょっと寂しそうに俺の車から降りた陽菜。
俺は車を走らせながら、興奮しちまった体を落ち着かせようとした。
―ピロロロロロロ
携帯の着信音が鳴り響き、俺はてっきり陽菜からだと思った。
陽菜みたいに、相手によって着信音を変えるほど、携帯電話の機能を理解していなかった。
「なんじゃ~?」
『もしもし・・・』
陽菜にしては、元気のない小さな声。
「寂しくなったんかぁー?」
『清水先輩・・・ですよね?』
俺は、電話の向こうの女が、陽菜ではないことに気付いた。