「大沢君って呼ぶなら教えない。優雅って呼んでよ!」
この会話ももう5回は繰り返してる。
「はいはい。優雅!!」
「お!マジで呼んでくれた!俺、期待しちゃうよ!」
優雅って黙っていれば、本当にモデルのようにかっこいいのに
しゃべるとどこか抜けてて、憎めないんだけどおばかさんなんだよね。
「俺と悟が出逢ったのは、まだ蒸し暑さの残るある秋の日の夕暮れ時だった…」
「あああああ!!!もういいから!そんな小説っぽく言わなくて良いから!」
またしょんぼりする優雅。
「俺と悟は、昔愛し合ってたんだ…」
え…
その顔で言われると、ちょっと信じてしまいそうになるんだけど!!
「てめぇ!ぶっ殺すぞ。ばっかじゃね~の!」
続きが聞きたくて目を輝かせていた私の前に現れたのは
サッカーバカ山田。
思いっきり、優雅の頭を叩いて、乱暴に鞄を地面に置いた。