「小早川先生、おっはよ~!私の彼氏であり、王子様でもある清水晴斗さんです!!」
私と王子は、Wデートの日の朝、小早川の家まで車で迎えに来た。
「どうも!清水です。亜沙子ちゃんと付き合いだしたんですね!おめでとうございます!」
王子は振り向いて、挨拶をした後、亜沙子の家へと車を走らせた。
「初めまして。いつも僕の生徒がお世話になりまして・・・ 佐藤は授業中も外ばかり見て、特に古典の授業中はまるでやる気なし。テストの点数も・・・」
「ああ~~~~!!はいはい!!わかったから、先生!!今日はその話はなし!!」
王子は私と小早川のやり取りを聞きながら、くすくすと笑った。
「初めましてじゃないっすよ、俺。小早川先生のこと、何度も見てるよ!」
王子の意味深な言葉に、小早川は赤い顔をして戸惑っていた。
この2人もなんだか正反対で面白いかも。
「あははは、嘘ですよ!小早川先生!」
王子は横目で私を見て、軽く頷きながら、人差し指を立てた。
『新井先生のことは内緒』、そういう合図なんだと理解した。
その後、亜沙子の家に近付くと、小早川は落ち着きのない態度で私と王子を笑わせた。
「先生、緊張してんの?」
「ばか!教師をからかうな!!」
やっぱり教師と生徒、2人でデートするわけにも行かず、今後もこういう展開が増えるかも知れない。
お洒落した亜沙子を隣に乗せた小早川は、亜沙子から顔をそむけたまま、硬直していた。
「先生、亜沙子がかわいいから照れてんの?」
「うるさい!!佐藤、教師をからかうんじゃないぞ!」
「教師なのに、生徒を好きになったくせに!!」
小早川いじめが最近の楽しみだったりする。