「あれ?王子??どうしたの?」



顔色の悪い王子。


観覧車の椅子に足を丸めて、体育座りをしていた。




「陽菜・・・俺のこと抱きしめて・・・」



またいつもの冗談だと思い、王子の肩を叩いた。



「王子・・・?」




王子、震えてる。




「陽菜・・・手、握ってて。俺、高いとこ、だめなんじゃ・・・」




王子、高所恐怖症?!


王子の弱点発見・・・なんて喜んでいる場合じゃない。



何とかしなきゃ。



「大丈夫?」



私は王子の隣に座り、王子の肩に手を回した。



震える王子の体をゆっくりとさすった。



緊急事態だから仕方ないんだけど、私は王子と密着しまくりだった。



「陽菜・・・もっとぎゅってして。」



甘える声がかわいくて、言われた通りにぎゅっと抱きしめた。




「これでいい?晴斗さん、大丈夫?」



「陽菜・・・俺のほっぺにキスして・・・」



え・・・

もしかして演技?




「王子!!もしかして、怖いフリしてるの?」



どうやら違うらしい。


本当に青白い顔をして、手が震えてる。