優雅は私を呼び出した後、教室に置きっぱなしだった私の携帯で王子に電話をかけた。
―新井先生が陽菜ちゃんと話がしたいって言ってたけど、清水さんが頼んだって本当?って。
もちろんそんなのは嘘で、王子は、職場に午前休を頼んで、高校に乱入してきたってわけ。
今から思えば、さっきの王子、かっこよかったなぁ・・・
俺の女に手を出すな!的なことを言ってくれて気がする。
でも、泣いている新井先生の気持ちが痛いほどわかったんだ。
大事な人を失っただけでも悲しいのに、その奪った女が自分の学校の生徒だなんて。
誠実じゃなかった自分を責めていたけど、新井先生もきっと寂しかったんだよ。
私だって3年間王子に会えないなんて言われたら、寂しくて、どうなるかわからない。
でも、他の男性を好きになったりはしないけど。
「陽菜、悪かったな。」
「陽菜ちゃんごめん!」
イケメン2人に謝られた私は、ニンマリしながら間に座った。
「2人とも大好きだよ!!」
私は2人の腕を掴んだ。
「はぁ?陽菜、今、何て言ったんじゃ?」
あ・・・しまった。
2人とも大好きなんて言ってしまったぁ!!!
「あ、好きなのは晴斗さんだけです!!優雅は友達です!!」
王子は、私と優雅の体の間で手を突っ込んで優雅の体を押した。
「優雅ぁ!!何、くっついてんだ!ばか!!」
「すいません!!清水さん。陽菜ちゃん、イチャイチャするのは教室だけにしようね~!」
調子に乗った優雅が、私の肩に手を回してそんなことを言った。
「てめぇ・・・ぶっ殺す!!」
「す、すいません!!嘘です!!」
王子が優雅の胸ぐらを掴む姿が面白くて、私は中庭で笑い転げた。