そりゃ・・・ね?
気になるよ。
嬉しくないわけじゃないよ。
もしも、灰皿王子と山田に接点があったら、って考えると・・・
確かにチャンスだとも思う。
もしも、亜沙子が想像するように・・・
山田のお兄ちゃんが灰皿王子だったら?
何も知らない灰皿王子のことを知るチャンス。
でも、知りたくないって思ってしまうんだ。
さっき、おもしろい展開になりそうだとウキウキした気持ちは、もう遠い空へと消えていた。
不安や、恐怖にも似た気持ちが、私の心に生まれていた。
このまま、何も知らない灰皿王子に恋していたい。
知りたくないことを知るくらいなら、今のまま何も知らない方がいい。
灰皿王子の彼女のことや、灰皿王子の秘密を知ってしまうと
今までのように、楽しく彼を追いかけてはいられない。
私は、非常階段で仲良く話す灰皿王子と喫煙女を見つめながら、残ったお弁当を亜沙子にあげた。