「待って・・・私はあなただけを。あなただけをずっと待ってた。」
新井先生の声は甲高いので、よく通る。
その声は、俺の耳から心の奥まで聞こえて、
ずっと昔の俺の心の中にまで届いた。
―ずっとあなただけ―
新井先生は、心からそう言える?
俺を好きだと言ったのは、嘘だったの?
俺の手を握ったのは?
ただ、寂しかったから?
でも、それは間違ってるよ。
本当に清水さんを愛しているのなら、誰かを代わりにしちゃいけない。
陽菜ちゃんみたいに、真っ直ぐに清水さんだけを見ていなきゃだめだよ。
それができなかったあなたに、清水さんに選ばれる権利はない。
「ちょっと待ってください!」
俺は音楽室に乗り込んでいた。
「新井先生・・・俺の前で、同じことが言えますか。」