廊下を走った。
悔しくて、悲しくて・・・自分がかっこわるくて、泣けてくる。
新井先生も、陽菜ちゃんも俺のものにはならない。
どちらも俺のことを好きだと言ってくれたけど、それは男としてじゃない。
俺は、清水晴斗に嫉妬した。
陽菜ちゃんを取られたからじゃない。
俺にはないものを持っているような気がした。
俺はまだ子供なんだ。
清水さんのように、かっこよくスーツを着こなすこともできないし、
とがった茶色い靴を履くこともできない。
ネクタイもまだうまく結べない。
そして、好きな女を強引に奪うこともできない。
嫌われたくなくて、いい人ぶって、友達を演じてる。
心の中では、やっぱり「彼女」にしたいって思ってるくせに。
俺は偽善者だ。
本当は、やっぱり俺が陽菜ちゃんの彼氏になりたい。
あの時もそうだった。
新井先生を守りたかった。
俺が新井先生の隣にいたかったんだ。