休み時間になると、私は亜沙子の手を引っ張って、廊下を走った。
あまり人のいない隣の棟まで行って、廊下に座り込んだ。
「さぁ、亜沙子!詳しく聞かせて!」
廊下に体育座りした私達は、下着が見えないように膝を押さえた。
夏なのに、廊下の床はひんやりしていて、気持ちが良い。
廊下の壁にもたれた亜沙子が話し始めた。
話し終えた亜沙子が言った。
「はぁ・・・好きだな、私。やばい・・・」亜沙子は私の体に体重を預けた。
「ほんとだね。私達やばいくらい恋してるね!」
――キーンコーンカーンコーン――
「走るよ、陽菜!!」私と亜沙子は廊下を走りながら叫んだ。
「王子大好きーーー!!」
「小早川先生好きーーー!!」
私と亜沙子が教室に入ると、小早川がちょうど教室のドアを開けたところだった。
亜沙子からさっきの話を聞いた直後だったから、恥ずかしくて小早川の顔を見ることができなかった。
その時、思い出した。
――王子の言葉。
窓から手を振れって言ってたっけ。
王子、さっきの休み時間私を探してくれていたかも知れない。