「陽菜、俺の彼女になるってことは、相当な覚悟がいるんじゃぁ・・・」
王子は、腕組みをしながら、顔だけ私の方へ近づけて、私の顔を下から覗き込んだ。
「はい!!大丈夫です!!」
王子の首に手を回して、抱きついた。
王子はいい匂いがする。
「はいはい、わかったから。今日は帰れ。あ、それと、ご家族の皆さんでこれ・・・」
王子は、右手で私の頭を抱えながら、左手を後部座席に伸ばす。
「何ですか?」
「ん?ケーキ。誕生日ケーキじゃ。」
私はもう一度王子の首に巻きついて、大好き!って叫んだ。
優しい王子。
いじわるぶった紳士。
「10時までに風呂入って、電話の前で待っとけ!」
王子はそう言って、私を見送ってくれた。