「ってか、未成年のうちは、俺はキスしないから。とことん我慢しとけ!」
未成年って!!
まだまだ未成年だよ、私。
「そんなに待てません・・・」
私って、いつからこんな大胆な子になったんだろう。
王子の前では、思ったことをすぐに口に出してしまう。
「ば~か!俺をその気にさすな!他に行きたいとこ、ないか?」
私は、少しでも長く一緒にいたいと言った。
王子は、私の家へと向かって車を走らせながら、少し遠回りしてくれた。
家の近くまで来ると、王子は車を停め、腕時計を外した。
「これ、やる。俺が長年愛用してた時計。俺の匂い付きじゃ・・・」
王子の手で私の腕につけられた時計。
薄い黄色のG-ショック。
「嬉しい!!!!良いんですか?大事にします!」
私は、その時計に鼻をくっつけて、くんくんと匂いを嗅いだ。
「それと・・・これも。」
王子がポケットから出したのは、「灰皿王子」の名前の由来になった、携帯灰皿だった。
「高校生と付き合うからには、俺もタバコやめんべ。」
王子は私が思っていた通りの真面目な人だった。
「晴斗さん大好き!!」
私の目からは大粒の涙が流れていた。
王子はその涙にキスをした。
頬に流れる涙を、王子の唇が止めてくれた。