「なんじゃ?」
王子は、音楽の音量を少し下げた。
王子の運転は安全運転だ。
カーブを曲がっても、お父さんの運転のように、体が倒れそうにならなかった。
「あほかぁ・・・お前のこと見たら、自分が止めれんようになるから怖いんじゃ・・・」
王子はそう言いながら、スピードを緩め、初めて私の目を見てくれた。
王子が好き。
その気持ちが溢れ出してしまいそう。
好きすぎて、どうしたらいいのかわからない。
悩んでいる王子の為に私ができることは何?
「もう、嫌いになるとか言うなよ。もう今さら遅いから。今お前が俺を嫌いになっても、俺はちっとも楽にはならん。」
王子は私の心を見透かすように、そう言った。
何度も考えた。
私さえいなければ、王子は新井先生と幸せになれるんじゃないかって。
でも、そのたびに、新井先生の上目遣いを思い出す。
いろんな男性にあんな顔をする女性に、負けたくないって思ってしまう。
王子、どうすればいい?