「俺、ハゲそう・・・最近、悩みすぎて・・・」
王子は運転をしながら、そんなことを言ってくれた。
王子は、私と新井先生のことで悩んでくれたのかな。
王子の心の中に、私はちゃんと存在してるんだね・・・
「晴斗さん・・・悩ませてごめんなさい。」
王子は、こっちも見ずに、ふふふって笑った。
片手で運転する姿がかっこよくて、横顔も素敵で、この匂いも大好きで・・・
「陽菜は、何も悪くないんじゃ。俺が悪いだけ・・・」
王子は車に乗ってから一度も私を見なかった。
また怖くなった。
もしかしたら、また言われるかも知れない。
――これが最後のデートだ・・・って。
こっち見て・・・
王子・・・
「どうしてこっち見ないんですか・・・」
私は窓の外を見ながら聞いた。
涙が出そうになるのを見られないように体を左に向けた。