王子の片手が私の背中に、もう片方の手が首の後ろに・・・



心臓の音がうるさくて、王子の声が聞こえにくい。



「俺の誕生日を一緒に過ごしてくれたお礼じゃ・・・」



王子は、トロンとする私の目を見て、優しく笑う。




「実は・・・七夕が俺の誕生日じゃ。あの日、どうしても、お前と過ごしたいと思った。結婚まで考えてる女のことなんて、頭から抜けてた。陽菜と一緒にいたいって思った。」




七夕の夜、2人で見た景色を思い出す。


2人で見たあの夜空と夜景・・・



王子の誕生日だったんだぁ。



「私も・・・私も、誕生日は晴斗さんと一緒に過ごしたかったです。だから、本当に今幸せです。」




「もっと、幸せにしてやろうか?」





王子はニヤリと笑い、私の体から手を離した。




スタスタと歩き出す王子を追いかけた。




「ついてこんかぁ?」




振り向いた王子が、いじわるそうな顔で私を呼ぶ。