黙ったままの私を見て、王子はいじわるな声で言う。
「ガキがぁ!」
久しぶりの王子のSな声。
やっぱり王子はこうでなくっちゃ!
「やっと独り占めできる・・・」
王子は歩きながら、空を見上げ、呟くように言った。
「俺があんな寛大なこと言うのは、最初で最後じゃぁ!もう、二度と俺以外の男とデートなんかさせね~から!!」
王子は、突然立ち止まり、私の目を見ながら怒り出す。
王子が、やきもちを焼いてくれてるの?
私に?
立ち止まった場所は大きな木の下だった。
雨が降っても守ってくれそうな大きな木は、真夏の訪れを前にぐんぐんと葉を伸ばしていた。