「ごちそうさまでした!!」
お腹も心もいっぱいになった私は、大好きな2人に頭を下げて、店から出た。
「ちゃんと送り届けるべきだよな・・・」
「王子、怖いもんな!」
優雅と山田の間に挟まれて、私はさっき王子と別れた場所に向かった。
ドキドキしてくる私を、2人は優しくからかってくれた。
ベンチに腰掛けた王子は、吸っているタバコをポケットから出した携帯灰皿に入れた。
間近で見る、王子の大好きな仕草。
ごめんね、2人とも。
こんなに優しいのに、こんなにも楽しいのに、私は王子のことしか好きになれないんだ。
「わざわざすまん。」
王子は立ち上がって、優雅と山田の肩を叩く。
2人は直立不動で固まっていた。
王子より背の高い優雅なのに、今は小さく見えた。
「お姫様をお返しします。」
優雅がふざけてそう言うと、王子もすかさず返す。
「ごくろう。姫は今からわしだけのもんじゃ・・・」
山田と優雅が笑い出し、私は意外な王子にまたキュンとした。