「陽菜ちゃん、友達想いだな。」
「私より、亜沙子の方が友達想いなんだよ。それに、優雅と山田もね!」
私は、優雅の半分残ったチーズケーキにフォークを伸ばした。
「俺は、陽菜ちゃんの恋がうまく行った時、一番喜んであげたい。偽善者かも知れないけどさ、俺と結ばれないなら、陽菜ちゃんの好きな人と結ばれて欲しい。」
優雅のその言葉に山田はちょっと悔しそうな顔をした。
最高の誕生日だった。
鞄の中では、亜沙子にもらった『はるちゃん』が優しく微笑んでいる。
「来年も祝ってね!」
私がそう言うと、優雅と山田は顔を見合わせた。
「来年まで俺、陽菜ちゃんのこと好きだろうな。俺ら、片思い長過ぎだよな・・・さてと、そろそろお姫様を王子様に返す時間だな!」
優雅はポケットから高級そうな財布を取り出して、レジへ向かった。
「来年は、どうなってんだろな、俺達・・・」
ボソっと山田がそう言った。
私も優雅も山田も亜沙子も・・・王子も、来年の今日は、何をしているんだろう。
私は片思いだけど、今すごく幸せだった。
ずっと『今』が続けばいいのにと思えるくらいに、恵まれた毎日だった。