「はい!任せてください!じゃあ、1時間後、ここに戻ってきます!」



優雅は、不服そうな山田に目くばせをした。




優雅は、なんて大人なんだろう。



彼氏でもない人に、よろしく頼むと言われて…

それは、私のことを第一に考えてくれているからだよね。



私が好きな相手だから、優雅は気を悪くしないように必死なんだ。



1時間貸し出しなんて…


悔しいけど、嬉しくて涙がでちゃう。




仁王立ちで私達3人を見送る王子。


優雅はぺこリと頭を下げた。



「優雅、山田…ごめんね。嫌な思いさせて。」



私は、無理して明るく振舞う優雅の顔を見上げて言った。



「嫌な思いなんてしてないよ。だって、清水さんは、ちゃんと陽菜ちゃんのこと大事に思ってる。だから、俺嬉しいんだ。」



「確かに…悔しいけど、あいつ…佐藤のこと、遊びとかじゃない気がする。」





何も言えずに、2人の顔を交互に見ていると、2人が言った。




「良かったじゃん!!」




私は、優雅と山田の腕を取り、叫んだ。


「あんた達最高!!ありがとっ!!」




私は世界一幸せ者だ。


大事な親友もいて、大事な男友達もいる。




私のことを好きなのに、私の恋を応援してくれる優しい優雅と山田。


掴めそうで掴めない王子のおかげで、私は大事なものをいっぱい知ることができた。