それから一週間が経った。
私は市役所をなるべく見ないようにした。
だから、灰皿王子と彼女の姿も見ることがなく、平和だった。
亜沙子は、小早川に彼女がいないという情報を耳にして、
本格的に小早川へのアタックを決意した。
「ねぇ、陽菜。そろそろプリンスにメアド教えてあげたら?」
音楽の授業中に、亜沙子が私の耳元で囁いた。
そう。
あれから、毎日プリンス優雅は私にメアドを聞いてきた。
クラスのほとんどの女子が自分から教えていたので、
なかなか教えない私が珍しかったのだろう。
眩しいくらいの爽やかな笑顔で毎日私を見つめてくるプリンス優雅。