彼の真っ黒な濡れたような髪型が好きになれなかった。


父親は、今までで一番彼を気に入って、何度も何度も私に彼を薦めた。



「彼氏とは別れなさい。佐知子は、政治家の妻に向いている・・・」



洗脳されたのかも知れない。



崎山信二と数回食事をした。




外見は、晴斗には負けるけど、なんと言っても金持ちだった。


そして、学歴。


びっくりするような高学歴で、留学経験のある崎山信二とは、話が合った。


私もピアノの勉強で1年間海外に行っていたことがあった。


いつか一緒に海外で暮らそうと言われた。



好きではないが、崎山信二をスッパリと振ることができなかった。


かれこれ、3年の付き合いになる。


私は1人の男で満足できない女。




信二とは、恋人未満の関係を続けながら、晴斗とも付き合っていた。




私と信二との食事現場を目撃した晴斗から激しく問い詰められた。



お見合い相手と何回も会うのはおかしいだろうと、晴斗は言った。




私は、嫌々親の命令で食事をしているだけだと答えたが、本当は選びきれなかっただけだった。




一緒にいて、楽しくて、面白い晴斗。


将来の安定が約束された、何でも持っている信二。