~佐知子目線~
ピアノに反射する夕日を見つめる時間が好き。
夕方の音楽室は私の好きな場所。
私は幸せになれない女。
二兎追うものは一兎も得ず、ということわざがある。
私は誰も愛せない。
だから誰からも愛されない。
いろんな男が私を好きだと言うけれど、どの言葉も、心から信じることができない。
結婚まで考えた大学時代の恋人、清水晴斗。
同僚の国語教師の小早川先生。
教え子の優雅・・・
そして、なかなか切ることのできない崎山信二。
私は誰を愛しているのだろう。
1人からの愛では満足できない私は、常に男に囲まれていたかった。
1人を愛すことが怖い。
その人が離れてしまった時に、そばにいてくれる代わりの人をいつも用意していた。