見上げても、どれが天の川だかわからなかった。



都会の片隅から見た空は、いつもと同じに見えたが、じっくり見ると、いつもよりも星の数が多く感じる。



信じられない出来事が起こった。



王子から電話がかかってきた。


きっと七夕の奇跡。




泣いてしまって声が出ないよ。




「もし・・・もし・・・」





『あぁ?おお!今日七夕だな。さっき空見てたらさ・・・一緒に見ようってお前が言ってたこと思い出して、かけてみた。どう今の気分?』




王子は、離れていた時間が嘘だったかのように自然に、以前のままのS口調だった。




「晴斗さぁぁあぁぁん・・・うわ~ん・・・晴斗さん・・・うれ・・・しいです。」




ベンチに顔をくっつけて、子供のように大声で泣きじゃくった。




『陽菜・・・ごめん。俺の優柔不断さが、またお前を苦しめてるな・・・』




王子の声が、懐かしくて、涙が止まらなかった。




「やっぱり・・・好きで・・・いてもいいですか。」



私は、ベンチにこぼれた涙をシャツの袖で拭いた。




『今、家か?』


ここに来ていることを王子はどう思うかな。

バカなヤツだって思うよね。




「今、公園に・・・来ちゃったんです。どうしてだかわからないけど・・・」





『陽菜・・・待っとけ。』