俺は教室を出てからもわざとゆっくり歩き、津田が小早川先生を追いかけるかどうか見ていた。
でも、津田は教室から出ることがなかった。
その夜、俺は・・・姉ちゃんに本当のことを話した。
協力するつもりだったけど、もうできないって。
俺は、人の純粋な気持ちを裏切り、それを心から悔やんでいると言った。
俺は姉ちゃんの恋も、佐藤の恋も応援したいんだと。
姉ちゃんは、最初困ったような呆れたような顔をしていたが、俺の真剣な口調に、最後には涙を流した。
「ごめん・・・あんたを利用して、ごめん。私・・・自分に自信がなくて。」
姉ちゃんの涙は、もしかしたら汚い涙なのかも知れない。
真っ直ぐに恋をする佐藤よりも濁った涙かも知れない。
でも、俺には透明でとても輝いて見えた。
恋をすると汚くなったり醜くなったりするものなんだと感じた。
でも、その何倍も、輝いたり素敵になったりもできる。
俺の恋の行方は・・・
ゴールが見えないよ。
サッカーでゴールを決めるのは、練習で何とかなるけど、恋のゴールはいくら努力しても遠い。
~山田目線END~