~山田目線~
殴られて当然だった。
俺は最低のことをした。
純粋な人の心を傷つけてしまった。
後悔しても遅かった。
例え、大事な姉ちゃんの頼みでも、俺は断るべきだった。
言い訳をするとしたら・・・俺もフラれたばっかりでむしゃくしゃしていた。
「悟、お願いがあるの。」
ニヤニヤしながら近付いてきた姉ちゃんは、俺の耳元で言った。
「清水さんのこと好きな女の子とあんたが付き合えばいいじゃん。」
俺は佐藤のことは友達としてしか見ていなかった。
クラスの中では一番話しやすいし、面白いから仲が良かったけど、それは恋じゃない。
人の気持ちや、感情って、そんなに簡単に動くものじゃない。
俺が嘘で告白して、佐藤が清水を諦めるわけがないってわかっていたのに。
「無理だよ・・・俺じゃなく優雅に頼もうか?」
「嫌!優雅君は、私の王子様だから!!あんたが頑張ってよ!」
昔ひとつ屋根の下で暮らした俺と優雅と姉ちゃん。
今では優雅とは別々に暮らしているが、やっぱり今でも兄貴だって思ってる。
素直になれないけどね。