「優雅・・・私、あんたを好きになれるかな。」
勝手に口から出ていた。
優雅に対する気持ちは、まだ友情以外にはなり得なかった。
でも、さっき殴られる優雅を見て、私は優雅を守りたいと思った。
「いいよ、無理しなくて。俺は陽菜ちゃんの応援団団長だから。陽菜ちゃんが清水さんとうまくいくことを願ってるよ。」
優雅は私の頭をポンと叩いて、立ち上がる。
今、もし・・・
私の言葉に優雅が『俺を好きになって』と言っていたら・・・
私は頷いたかも知れない。
逃げ場じゃないけど、優雅の心地よい胸に甘えたかった。
でも、そんな気持ちを優雅は知っていた。
「友達として、俺は陽菜ちゃんが好きだから。」
そんな言葉を残し、かっこよく教室を出た優雅を、追いかけたいと思った。
振り向かない背中をじっと見つめていると涙が出た。
どうして、好きになれないの?
こんなにも優しい人がいるのに。
優雅が本当の王子様だよ、きっと。