「今は違うって!!!」




山田が優雅の顔を殴った。

だから、優雅の顔は殴っちゃだめだって!!





「やめて!!!!!」



私は、優雅の上に覆いかぶさるようにして、山田を止めた。




「2人とも・・・やめて。私のせいでごめん。」




私は、優雅が殴られることがたまらなく嫌だった。



山田は、我に返ったように、深呼吸をし、ごめんと言い残し、教室を出た。




「陽菜ちゃん・・・ごめん。俺・・・」



「いいよ。優雅は顔が命だから、顔だけは殴っちゃだめなのにね。」



私は、優雅の唇の端に付いた血をハンカチで拭った。



「いいよ・・・こんな顔。どうなっても・・・」



珍しく優雅は私の冗談に乗らなかった。



「優雅?」



「俺・・・どうすればいいかな。これ以上陽菜ちゃんを好きでいちゃだめだよね。」




王子にフラれた日の自分を思い出した。


私は王子の為に何ができるか考えた。


そして、身を引こうと思った。



優雅は、私の為に、私をあきらめようとしていた。