俺は窓の外に視線を向けた。
もう遅いよ。
あんなにも真剣に恋をしていた俺の心を、先生が傷つけた。
俺を避けた。
スッパリ振ってくれた方が楽だった。
思わせぶりな女は嫌いだ。
しばらく沈黙が続き、俺は振り向こうとした。
もしかして泣いているのではないかと心配になったからだ。
「さち!ここにいたのか・・・」
振り向かなくて良かった。
人の声を覚えるのは苦手な俺だけど、今の声は誰だかわかる。
最近毎日のように聞いている声。
振り向いていないのに、後ろの2人の顔が目に浮かぶ。
俺は誰にも言わないし、何も見ていない。
だから、2人で早く消えてくれ。